ソーシャルな視点で、地域の課題解決から企業の商品・サービス企画まで、アイデア創発を通じた「場」づくりを幅広くサポート。アイデアソンの手法を活用して、数々のアクションを生み出している。
ローカルな東京に飛び込もう株式会社ビジネス・アーキテクツにてデザイナー及びアートディレクターを7年間経験後、2008年に独立。近年では、データ・ビジュアライゼーションの実践と普及に関する様々な活動をおこなっている。共著書に「RESASの教科書」がある。
首都東京 対 地方というマウンティング構造を乗り越えるためにこそ、個人主義と向き合おう原 亮
あなたが東京という単語から思い起こす場所はどこだろうか?高層ビル群や繁華街か。アパートや個人商店、町工場がひしめく下町か。私鉄沿線のニュータウンか。個々の場所を切り取ったとき、東京はあらゆる顔を持つ。
東京を大きな塊としてだけ見ていると、見失う実態がある。小さなローカルに足を踏み入れると、そこには今なお、多彩なコミュニティが幾重にも存在する。その厚みが、東京の可能性であり、魅力である。
一方で、多層化した社会にいると、同じ町に居ながら、自分と異なる困難を抱えて暮らす人がいることを見落としてしまう。人や関わり合いが多い分、課題が生まれ続けるのが都市の姿。だれかが抱える困難は、明日の我が身かもしれない。
東京には、無数の変化と個性を受け入れ続けてきた寛容さがある。人も町も組織も、個々がありたい姿を思い描きながら、互いの関係性を自由にデザインできれば、東京はもっと居心地のよい都市になれる。
大都市こそ、どローカルに。
だれかにとっての身近な課題や欲求を、未来の希望へとつなぐシビックテックへ。
矢崎 裕一
首都に限らず日本社会にマウンティングのタネはいくつもある。
一つはお金。多ければ多いほど「上」。一つは社会的権力。いきつく先には政治権力がいる。東京に近いほど「上」。(旧来の)学歴主義もその先にあるのはそれだ。
ミュージシャンはレコード会社に所属し、タレントは芸能プロダクションに所属する。日本でこれまで強かったのは個人よりも組織だ。その背景にあるのは、お金と社会的権力だ。これに固執する限りマウンティングのタネはなくならない。それは「東京」に限らず、個人をないがしろにしてきた「日本全体」のある種の病いだ。
今こそ個人から始めよう。
自分の発見した喜びや価値に夢中になろう。自分の夢がみんなの夢にもなれば、それがリベラルアーツのリーダーシップだ。他の人と比べて上か下かではない、マウンティング・フリーの世界だ。そしてその時こそ、それそのものを、それそのものとして、受け入れよう。
庄司 昌彦
現在、東京を中心とする都市圏には3800万人以上の人々が暮らしている。国連の統計によると東京は、世界でもっとも大きなメガシティ(巨大都市)だ。1955年にニューヨークを抜いて以来、ずっと世界一の地位を保っている。しかも、これだけ大きな都市であるにも関わらず、どこにいても安全で、交通網もそこそこ信頼できる。面白い場所も多い。最近は、東京に遊びに来る外国人観光客も増えてきた。満員電車には閉口するけれど、僕らは東京をそこそこ気に入っている。
だが、東京は本当に世界でもっとも生活がしやすい場所なのだろうか。もっとも活気がある場所なのだろうか。「優しさ」や「クリエイティビティ」はどうだろうか。もっともっと東京を良い場所にしていくことはできないだろうか。
21世紀はアジア・アフリカの都市が急成長する「都市の時代」といわれている。世界地図を眺めてみると、周辺地域では東京のライバルになりそうな都市があちこちで成長を続けている。そんな中で東京は、ただ大きいだけではなく、グローバルなスケールでもっとも魅力的な都市であってほしい。そして東京で世界の人々と交流し、仕事をし、暮らしていきたい。そんな東京を、多くの人とともに考え、ともに作っていきたい。